2012年4月6日金曜日

「自立」について


 練馬区が発行している「すぐわかる介護保険」の24年度版ができました。大分分かりやすくなりました。その最初のページを見て、おやっと思いました。

 「介護保険は、介護が必要になっても高齢者が地域で安心して暮らしていけることを目指すとともに、いつまでも自立した生活を送れるよう支援します。」

 上野千鶴子さんによると、「私たちの生きている社会には、老いることを拒否する思想がある。そのため、日本は既に超高齢社会に入っているにもかかわらず、高齢者の意識は社会の変化に追いついていない。そのことが、高齢者の自立と障害者の自立の概念に違いをもたらしている」ということです。

 障害者の自立とは、「私は生きるために誰かに助けてもらわなければならない。だからと言って、その人に従属しなければならない理由はない。」ということですが、高齢者の自立とは、介護を受けないことを指しています。

 このような違いが生じたのは、「障害者が戦って得たものを、高齢者は与えられたからで、高齢者には当事者(私は、介護を受ける権利がある、そのニーズは満たされて当然だ、という)意識が欠落していたからです。即ち、介護保険制度は高齢者が求めてできたものではなく、介護世代が自分たちの負担軽減を求めてできた制度なのです。」とのことです。

 「すぐわかる介護保険」の要介護認定のところを見ると、要介護15、要支援12そして非該当(自立)という区分がありました。つまり介護を必要としない人を自立と言っています。このことから、高齢者の自立と障害者の自立の概念に違いがあるといわれているのです。

 ところが今年度版の「すぐわかる介護保険」の最初のページには、「介護が必要になっても自立した生活を送れるようにするのが介護保険です」と説明しています。これは大きな前進です。介護を必要としない人を自立と呼ぶのは介護する側の発想ですが、最新版の「すぐわかる介護保険」が、利用者(介護される側)の立場に立って自立という言葉を使い、利用者に分かりやすい説明に努めるようになったことは喜ばしいことです。(角さん)



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2 件のコメント:

  1. 「介護が必要ないことが自立である」と「介護を受けながら自立を目指す」とは違うことが良くわかります。介護が必要になっても生きる希望や喜びが得られるような社会にしたいですね。

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  2. 角さんの「自立について」は大変刺激的です。
    「障害者の自立」と同じように、「要介護者の自立」も大切にしなければならないと思います。

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